ゴールデンウィークが終わった頃から、次のような不調を感じていませんか。

朝起きるのがつらい。
 仕事や学校に行こうとすると気分が重くなる。
 やる気が出ない。
 眠れない。
 動悸やめまいがある。
 胃の不快感や下痢、便秘が続いている。
 休日に休んでも疲れが取れない。

このようなGW明けの不調は、一般的に「五月病」と呼ばれることがあります。

五月病は正式な医学的診断名ではありません。しかし、進学、就職、転勤、部署異動、引っ越し、人間関係の変化などによるストレスが重なり、心と身体のバランスが崩れているサインとして現れることがあります。

特に、気分の落ち込みや不安だけでなく、動悸、めまい、頭痛、胃腸不調、息苦しさ、寝汗、倦怠感などの身体症状が目立つ場合、いわゆる「自律神経失調症」と表現されることもあります。厚生労働省の「こころの耳」でも、自律神経失調症に関する用語解説が設けられており、働く人のメンタルヘルスに関わる不調として扱われています。

◎五月病とはどのような状態?

五月病とは、4月からの新生活や環境変化による緊張が続いたあと、5月頃に心身の疲れが表面化する状態を指す一般的な言葉です。

たとえば、4月は「新しい職場に慣れなければ」「周囲に迷惑をかけてはいけない」「早く成果を出さなければ」と無理をしやすい時期です。最初は緊張感で乗り切れていても、ゴールデンウィークで一度ペースが緩んだあと、再び日常に戻るタイミングで不調が出ることがあります。

五月病では、次のような症状がよくみられます。

こころの症状

気分が落ち込む。
 やる気が出ない。
 不安が強い。
 イライラしやすい。
 集中できない。
 人と会うのがつらい。
 仕事や学校のことを考えると憂うつになる。
 以前楽しめていたことに興味が持てない。

からだの症状

眠れない。
 朝起きられない。
 寝ても疲れが取れない。
 食欲がない。
 胃が重い。
 吐き気がする。
 下痢や便秘を繰り返す。
 頭痛がする。
 肩こりが強い。
 動悸がする。
 息苦しい。
 めまいがする。
 身体がだるい。
 汗をかきやすい。
 手足が冷える。

五月病というと「気持ちの問題」と受け止められがちですが、ストレスは睡眠、食欲、胃腸、自律神経、ホルモンバランスなどにも影響します。心の症状よりも、身体の症状として現れる方も少なくありません。                                  

◎いわゆる自律神経失調症とは?

「自律神経失調症」という言葉は、患者さんがご自身の不調を説明するときによく使われます。

自律神経とは、心拍、血圧、呼吸、体温、発汗、胃腸の動きなどを自動的に調整している神経の仕組みです。自律神経系は、体内外からの刺激を処理する中枢神経系から入力を受け、交感神経系と副交感神経系が身体の働きを調整しています。 

簡単に言えば、交感神経は活動・緊張・興奮に関わり、副交感神経は休息・回復・リラックスに関わります。

新生活の緊張、睡眠不足、過労、不安、生活リズムの乱れが続くと、身体がうまく休めなくなり、交感神経が優位な状態が続くことがあります。その結果、動悸、息苦しさ、めまい、胃腸不調、頭痛、倦怠感、不眠などが出ることがあります。

このような状態が、一般的に「自律神経が乱れている」「自律神経失調症かもしれない」と表現されます。

ただし、ここで大切なのは、自律神経失調症はひとつの検査で簡単に診断できる病気というより、さまざまな症状が集まった状態を指して使われることが多いという点です。

動悸がある場合は不整脈や甲状腺疾患、めまいがある場合は耳鼻科疾患、倦怠感がある場合は貧血や内科疾患、胃腸症状がある場合は消化器疾患など、別の病気が隠れていることもあります。

そのため、心療内科・精神科では、症状の背景にあるストレス、睡眠、生活リズム、不安、抑うつ状態を確認しながら、必要に応じて内科的な検査や他科受診も含めて状態を確認していきます。

◎五月病と自律神経失調症の関係

五月病では、気分の落ち込みや意欲低下だけでなく、自律神経の乱れによる身体症状が前面に出ることがあります。

たとえば、次のようなケースです。

朝になると動悸がして、出勤しようとすると息苦しくなる。
 職場に近づくとお腹が痛くなる。
 夜、明日のことを考えると眠れない。
 休日も緊張が抜けず、身体が休まらない。
 検査では大きな異常がないのに、めまいやだるさが続く。

このような場合、「体調が悪いだけ」と思っていても、背景にはストレス反応、不安、適応障害、うつ状態などが関係していることがあります。

心療内科・精神科では、症状だけでなく、いつから始まったのか、どのような場面で悪化するのか、生活や仕事にどの程度支障が出ているのかを丁寧に確認します。

五月病と思っていたら、適応障害やうつ病のことも・・・

五月病は正式な診断名ではありません。医療機関で診察した結果、状態によっては「適応障害」「うつ病」「不安症」「睡眠障害」などと判断されることがあります。

◎適応障害

適応障害は、職場、学校、家庭、人間関係、生活環境の変化など、はっきりしたストレスをきっかけに心身の不調が起こり、日常生活に支障が出ている状態です。

新しい職場に行こうとすると動悸がする。
 上司や同僚との関係を考えると眠れない。
 学校や職場に行けなくなる。
 休日は少し楽になるが、月曜日が近づくと強く不調になる。

このように、ストレス要因と症状の関係が比較的はっきりしている場合、適応障害が疑われることがあります。

うつ病

うつ病では、気分の落ち込み、興味や関心の低下、不眠、食欲低下、疲れやすさ、集中力低下などが続き、生活に大きな支障が出ます。厚生労働省の「こころの耳」では、うつ病について、抑うつ気分、興味や関心の欠如、不安・焦燥、食欲低下、不眠などが生じ、生活上の著しい苦痛や機能障害を引き起こす精神疾患と説明しています。 

「五月病だからそのうち治る」と思っていても、症状が長引く場合や、生活に支障が出ている場合は、うつ病や適応障害として治療が必要なことがあります。

次のような状態がある場合は、早めに心療内科・精神科への相談をおすすめします。

心療内科・精神科を受診したほうがよいサイン

気分の落ち込みが2週間以上続いている。
 不安や緊張が強く、仕事や学校に行くのがつらい。
 眠れない、夜中に目が覚める、朝早く目が覚める。
 食欲が落ちている、体重が減ってきた。
 動悸、息苦しさ、めまい、吐き気、下痢などが続いている。
 検査で大きな異常がないのに体調不良が続く。
 朝になると強く具合が悪くなる。
 遅刻、欠勤、早退が増えている。
 涙が出る、焦りが強い、イライラが抑えられない。
 以前できていた仕事や家事ができなくなっている。
 「消えてしまいたい」「死にたい」と感じることがある。

特に、自分を傷つけたい気持ちや死にたい気持ちがある場合は、我慢せず、すぐに身近な人、医療機関、救急窓口、相談窓口につながることが大切です。

心療内科・精神科では何をするの?

初診では、まず現在の症状と経過を確認します。

いつから不調が始まったか。
 GW前後で変化があったか。
 眠れているか。
 食欲はあるか。
 仕事や学校に行けているか。
 動悸、めまい、胃腸症状など身体症状があるか。
 新生活や職場、学校、人間関係で負担が増えていないか。
 過去にも同じような症状があったか。
 現在服用している薬があるか。

必要に応じて、心理検査、血液検査、睡眠の評価、診断書の相談、休職や勤務調整の相談、薬物療法、カウンセリング、生活リズムの調整などを検討します。

治療は、必ずしも薬だけではありません。まずは睡眠を整える、ストレス要因を整理する、職場や学校との距離の取り方を考える、必要な休養を確保する、といったことも重要です。

自分でできるセルフケア

軽い不調の段階では、生活リズムを整えることで回復しやすくなることがあります。

起きる時間をなるべく一定にする

休日に昼過ぎまで寝てしまうと、夜眠れなくなり、月曜日の朝がさらに苦しくなることがあります。まずは起きる時間を大きく崩さないことが大切です。

朝に光を浴びる

朝の光は体内時計を整える助けになります。起きたらカーテンを開ける、短時間でも外に出るなど、朝の光を取り入れましょう。

予定を詰め込みすぎない

5月は「遅れを取り戻さなければ」と頑張りすぎやすい時期です。疲れが強いときは、予定を減らすことも治療的な選択です。

軽い運動をする

散歩、ストレッチ、深呼吸など、負担の少ない運動を取り入れましょう。激しい運動でなくても、身体を少し動かすことで緊張がゆるみやすくなります。

アルコールで眠ろうとしない

寝つきをよくするためにお酒を飲む方もいますが、アルコールは睡眠の質を下げ、夜中に目が覚めやすくなることがあります。不眠が続く場合は、自己判断で飲酒量を増やすのではなく、医療機関に相談しましょう。

ひとりで抱え込まない

家族、友人、職場の上司、学校の先生など、話しやすい人に状態を伝えることも大切です。言葉にすることで、状況が整理され、必要な支援につながりやすくなります。

「自律神経の乱れだから大丈夫」と決めつけないでください

動悸、めまい、胃腸不調、息苦しさ、だるさなどがあると、「自律神経が乱れているだけ」と考えてしまうことがあります。

しかし、これらの症状は、内科的な病気、甲状腺疾患、貧血、不整脈、耳鼻科疾患、消化器疾患、パニック症、うつ病、適応障害などでも起こることがあります。

自律神経失調症という言葉は便利ですが、それだけで原因を決めつけるのは危険です。

心療内科・精神科では、身体の症状とこころの状態を両方確認しながら、必要に応じて他科とも連携して診療を進めます。

早めの相談が回復への近道です

五月病や自律神経の乱れによる不調は、「気合いで乗り切るもの」と思われがちです。

しかし、無理を続けることで、不眠が悪化したり、欠勤が増えたり、適応障害やうつ病の状態に進んだりすることがあります。

「まだ受診するほどではない」
 「このくらいで相談してよいのかわからない」
 「自律神経失調症なのか、うつ病なのか不安」
 「仕事を休むべきか判断できない」

このような段階で相談していただいて構いません。

早めに状態を整理することで、休養が必要なのか、生活リズムの調整でよいのか、薬物療法が必要なのか、職場や学校への対応を考えるべきなのかが見えやすくなります。

当院で相談できること     

当院では、GW明けから続く以下のような不調についてご相談いただけます。

 気分の落ち込み。
 やる気の低下。
 不眠。
 朝起きられない。
 仕事や学校に行くのがつらい。
 動悸、めまい、息苦しさ。
 胃腸不調、食欲低下。
 自律神経失調症かもしれない不調。
 適応障害。
 うつ状態。
 不安や緊張。
 休職や診断書に関する相談。

症状の背景を丁寧に確認し、必要に応じて治療、生活面の助言、休養の相談、職場・学校への対応、他医療機関との連携を行います。 

🍀まとめ

五月病は正式な診断名ではありませんが、GW明けに起こりやすい心身の不調を表す言葉としてよく使われます。

気分の落ち込み、やる気の低下、不眠だけでなく、動悸、めまい、息苦しさ、胃腸不調、倦怠感など、いわゆる自律神経失調症のような症状が出ることもあります。

ただし、その背景には、適応障害、うつ病、不安症、睡眠障害、身体疾患などが隠れている場合もあります。

🌸GW明けから不調が続いている方は、ひとりで抱え込まず、当院にご相談ください🌸

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